「大分大学ティーチング・カフェ」の概要報告

大分大学FD研修会「大分大学ティーチングカフェ」を、6月17日(火)、6月20日(金)の両日、本センターを会場として実施しました。
本ティーチングカフェは、参加者にあらかじめ「授業での課題、問題点」を提出していただき、授業改善の一般的な課題とあわせて話題として取り上げ、お茶を飲みながらリラックスした雰囲気の中で、意見交換を行うものです。
先生方が授業について考えていることや、困っていること、他の先生は授業でどのような工夫をしているのか等について、意見交換することで授業改善へのヒントを探す場にしたいと考え企画しました。
参加者の便宜や少人数での意見交換(参加者10名以内を予定)を狙いとしたので、2日間に分けて実施しました。内容的には、参加者の関心の持ち方や年齢構成の違い等から、開催の趣旨は同じでも内容的にはかなり異なったものとなりました。

A日程:6月17日(火)

 参加者は司会も含めて8名でした。
 最初に、司会者(牧野:本センターFD・授業評価部門長)が本ティーチングカフェの趣旨を説明し、次に、参加者が日頃の授業に対する取り組みや思いを含めて自己紹介をしました。大学院修了後、初めて授業を担当するという先生から20年以上本学で教鞭をとっておられる先生まで、ご自分の授業の経験や取り組みの方針を交えての自己紹介でした。

 この日の主な話題は以下のとおりです。

○技術的な問題に関して

 学生とのやりとりの端緒となる効果的な問いかけや指名の仕方、パワーポイント、板書等による効果的な提示の仕方、ノートのとらせ方、授業中の教室内での教師の立ち位置(黒板との距離)、効率的なレポートの返却方法などをめぐって、意見を交換しました。

○授業のねらいに関して

 基礎的な知識を身につけさせる授業のあり方、思考の訓練の授業、議論に参加させる授業等の設定の仕方などをめぐって、意見を交換しました。

○学生とのコミュニケーションに関して

 出席カードを配布する際に、短いコミュニケーションをとる、レポートの返却とその際の指導方法の実際などをめぐって、意見を交換しました。

 この結果、今回の参加者の間では、授業中の私語については大きな問題にはなっていないことを確認することができました。また、授業の準備に費やす労力、レポートの添削の程度など、お互いに直接話すことでしかできないような情報もあり、有意義な時間となりました。

 まとめとして司会者が本学と他大学のティーチングティップスを紹介しました。最後に西村センター長から挨拶があり、第1回目の日程を終了しました。

※本学の授業改善ティップスは『教員ハンドブック』に掲載されています。
※名古屋大学版ティーチング・ティップス「成長するティップス先生」はこちらをご参照ください。

B日程:6月20日(金)

参加者は司会も含めて10名でした。
 前回と同様に、司会者からの趣旨説明に続いて、参加者からの自己紹介によって、本ティーチングカフェが始まりました。参加者の経歴と共に授業への取り組みや学生への接し方等の紹介がありました。

 当日の話題は以下のとおりです。

○学生への対応に関して

 私語を抑制する効果のあった手法の紹介、学習意欲を喚起するための教材の開発や小テストの工夫、小テストの実施回数と用紙の形式などをめぐり、意見を交換しました。

○学生の受講態度に関して

 授業中の教室の出入り、教室外での学習時間の現象、学生の学習履歴の多様化とそれに対応した提示・配付資料の作り方などをめぐり、意見を交換しました。

 そのほか、また、外国の大学におけるシラバスの位置づけについての興味深い事例紹介もあるなど、意見交換は多岐にわたりました。

 まとめとして、司会者が前回と同様に本学と他大学のティーチングティップスを紹介し、最後に、西村センター長から挨拶があり、本ティーチングカフェの全日程を終了しました。

 今回のティーチングカフェは、初めての企画で、開催に当たっては、本センターのFD・授業評価部門の先生方からアドバイスを頂きました。おかげさまで、無事終了することができました。お忙しい中、ご参加いただいた先生方には感謝申し上げます。

 講演の後、フロアからは、シンポジウムを開催しなかった理由、予算措置後も事業は継続しているのか、評価のされ方は、基礎コア科目は必修化されているのか、TAセッションは単位化しているのか、等の質問がありました。シンポジウムについては対費用効果を考えたこと、事業は現在も継続していること、評価はホームページ等も含め公開されたものが対象となること、基礎コア科目間の連携強化は学部経済学教育の問題点を補うもので実質必修化の取り扱いであること、TAセッションは単位化していないが有効に機能している旨の回答がありました。

 最後に、本学の羽野学長から、大学院教育の充実は急務であり、GPの組み方や注意すべき点について大変有意義なご講演をいただいたとのお礼の挨拶がありました。
 
 本講演会には旦野原キャンパス、挾間キャンパス合わせて24名の教職員の皆様に参加いただきました。前学期試験の最中での開催となりましたが、忙しい中お集まりいただき、ありがとうございました。

【第2部】 意見交換会

 [日時]2008年7月24日(木) 17:00から18:30
 [場所]教養教育棟学生センター会議室

 意見交換会は講師を囲んで和やかな雰囲気で進められました。講演会より具体的かつ詳細に、申請書の作成や審査についての意見交換ができました。

 大学院GPの最新動向として、実績を重視しなくなったこと、審査委員会の資料が公表されているのでそれを活用して申請書を作成すること。審査結果の理由は次の審査委員にも引き継がれるので、不採択の場合には、その対策を必ず問われるので対策を立てること等、申請についてのアドバイスがありました。

 また、事後評価についても話題となり、基本は書面評価であるが、ホームページによる成果の公開も評価の対象となること、形式要件はきちんと整えること、中身については専門家しか分からない、との話がありました。

 また、VOD(ビデオオンディマンド)は簡単な装置であったが院生の視聴頻度は多く、有効に機能したことや、学生への学習支援だけでなく、教員の教え方の不備に気づかせてくれるなどFDの観点からも有益であるなど、実践に基づくお話しには説得力がありました。1時間という短い時間でしたが、有意義な意見交換会となりました。

 意見交換会には6名の参加がありました。ありがとうございました。

[参考]案内ページ

(更新)2008年8月1日
(文責)牧野 治敏
(編集)尾澤 重知

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