第1回大学院FD講演会「大阪大学大学院における教育改革」

高等教育開発センターは、平成20年7月24日(木)に、大学院部門会議との合同でFD講演会を開催しました。これは大学院設置基準の改正(平成19年4月1日)により大学院教育におけるFD(ファカルティ・ディベロップメント)が義務化されたことを受け実施したものです。

講師として、伴 金美 氏(大阪大学大学院教授)を講師としてお招きし、平成17年度に魅力ある大学院教育イニシアティブ(大学院GP)に採択された、大阪大学大学院での「存在感のある若手研究者養成のための教育改革」の具体的取組に関して、講演会と意見交換会を開催しました。

【第1部】 大学院FD講演会 「大阪大学大学院における教育改革」

[日時]2008年7月24日(木) 15:00から16:30
[場所]教養教育棟32号教室(旦野原キャンパス)
医学部211教室(挾間キャンパス:遠隔講義システム)

 講演に先立って、本センターの西村センター長より講師の伴先生の略歴紹介があり、引き続き、嘉目教育担当理事より挨拶がありました。

 講演は、大阪大学大学院での先進的な取組である「存在感ある若手研究者養成のための教育改革(大学院経済学研究科教育のグローバルスタンダードを目指して)」について、その事業の目的、実際の教育プログラム、評価に関する全般的な解説でした。その主なポイントは以下のようでした。

 目的については、新時代の大学院教育(答申)に示された、「1.大学院教育の実質化」、「2.国際的な通用性、信頼性の向上」を受けての研究者養成のためのイニシアティブとして立案したとのことでした。また、申請書類作成に当たっては答申の内容を十分に反映しなくてはならないが、その答申が出てから予算申請までの期間が非常に短いので、意見聴取のために提示された答申案の段階で準備を進めることが必要であったとの説明がありました。

 教育プログラムについては、「マクロ経済」、「ミクロ経済」、「エコノメトリックス」を基礎コア科目とし、基礎から最先端までの世界標準の内容を実践型学習により学べるよう設定し、TAセッションを教育訓練として活用したこと。授業はビデオ収録し、オンデマンドのキャッチアップ教材としたこと。海外から研究者を招聘し、院生への集中講義や研究指導を実施したこと。研究発表等のために院生を国内外の研究会に派遣し、研究者として必要な訓練の場を提供したこと、投稿料補助やRAとしての雇用等、研究活動への積極的な支援について説明がありました。
 評価については、「ほぼ達成された」との総合評価を受け、国際化への取組の充実が今後の課題とされたので、国際化を重視した教育プログラムの企画・構想もあったとのお話しもありました。

 締めくくりとして、本事業は予算獲得のためではなく大学存続のために必要であるとの観点から実施しているとのことばで講演は終了しました。

講演の後、フロアからは、シンポジウムを開催しなかった理由、予算措置後も事業は継続しているのか、評価のされ方は、基礎コア科目は必修化されているのか、TAセッションは単位化しているのか、等の質問がありました。シンポジウムについては対費用効果を考えたこと、事業は現在も継続していること、評価はホームページ等も含め公開されたものが対象となること、基礎コア科目間の連携強化は学部経済学教育の問題点を補うもので実質必修化の取り扱いであること、TAセッションは単位化していないが有効に機能している旨の回答がありました。

最後に、本学の羽野学長から、大学院教育の充実は急務であり、GPの組み方や注意すべき点について大変有意義なご講演をいただいたとのお礼の挨拶がありました。

本講演会には旦野原キャンパス、挾間キャンパス合わせて24名の教職員の皆様に参加いただきました。前学期試験の最中での開催となりましたが、忙しい中お集まりいただき、ありがとうございました。

【第2部】 意見交換会

 [日時]2008年7月24日(木) 17:00から18:30
 [場所]教養教育棟学生センター会議室

 意見交換会は講師を囲んで和やかな雰囲気で進められました。講演会より具体的かつ詳細に、申請書の作成や審査についての意見交換ができました。

 大学院GPの最新動向として、実績を重視しなくなったこと、審査委員会の資料が公表されているのでそれを活用して申請書を作成すること。審査結果の理由は次の審査委員にも引き継がれるので、不採択の場合には、その対策を必ず問われるので対策を立てること等、申請についてのアドバイスがありました。

 また、事後評価についても話題となり、基本は書面評価であるが、ホームページによる成果の公開も評価の対象となること、形式要件はきちんと整えること、中身については専門家しか分からない、との話がありました。

 また、VOD(ビデオオンディマンド)は簡単な装置であったが院生の視聴頻度は多く、有効に機能したことや、学生への学習支援だけでなく、教員の教え方の不備に気づかせてくれるなどFDの観点からも有益であるなど、実践に基づくお話しには説得力がありました。1時間という短い時間でしたが、有意義な意見交換会となりました。

 意見交換会には6名の参加がありました。ありがとうございました。

[参考]案内ページ

(更新)2008年8月1日
(文責)牧野 治敏
(編集)尾澤 重知

関連記事

ページ上部へ戻る