きっちょむフォーラム2008(学内合同研修会)の概要報告

[期日] 平成20年11月26日(水曜日)
[場所] 旦野原キャンパス教養教育 32号教室
     挾間キャンパス看護学科 211号教室

[参加人数]
     第1部 教職員 33人 学生51人
     第2部 教職員 22人

開会の挨拶

 開会にあたって、西村センター長より挨拶があり、本フォーラムは教員の専門を超えて議論する場であること、全国的にみてもユニークな活動であること、実りある研修会としたいこと等が述べられた。続いて、嘉目教育担当理事より、本学では法人化以降、種々の改革を進めていることや、中教審、文部科学省、国立大学協会等からは学生の能力に視線をおいて力量を向上させることが求められていること、また、次の中期計画に反映できるよう、いろいろな観点からの意見や議論によって、大分大学の教育を良いものにしていただきたいとの挨拶があった。 

 

第1部「学生教職員教育改善シンポジウム」

 シンポジウムは市原教授(経済学部、本センターFD・授業評価部門センター員)の司会により進められた。本シンポジウムの主旨、今回の報告では全国学生調査のデータを使用する旨の紹介があった。 

 

 

   

 

 報告者の論題、および資料は以下の通りである。

報告演題・報告者 資料(学内限定)
はじめに
 ・西村善博(高等教育開発センター長) あいさつ
 ・嘉目克彦(教育担当理事) あいさつ
1) ワーキングスキル~アルバイトで単位認定~
  田中啓太、堀田祐馬、安部泰記(経済学部)
PDF
2) DSを使って授業改善
  関あずさ、加藤芙夕子、福田里砂(教育福祉科学部)
PDF
3) 大分大学の英語教育への提案
  久保沙也華(教育福祉科学部)
PDF
4) 少人数クラスVS大人数クラス
  永利勇樹、井島紘、香田薫、森田理恵、西健四郎
  (教育福祉科学部、経済学部、工学部)
PDF
質疑応答

 報告1では、学生がアルバイトで習得するスキルを単位認定することの可能性への提案であった。アルバイトで学生が得たもの、本学での「インターンシップ」、「教育実習」、「第二外国語の検定資格」等による学外活動の単位認定の例、授業シラバスの例、他大学での「アルバイトの単位化」の事例が、その根拠として紹介された。
 具体的な単位数と、講義との関連について質問があり、単位としては2単位を考えていること、講義をきっかけとしてアルバイトを続けるとの回答があった。 

 報告2は、携帯型ゲーム機(ニンテンドーDS、以下DSとする。)を授業に導入することで、学生が個々のレベルに合った学習活動を主体的に進めことができるとの提案であった。他大学での実践例、利用可能な学習ソフトの例、DSの導入による長所と短所が紹介された。
 充電の問題、費用、1セメスターあたりのソフトの数について質問があり、充電器の貸し出し、DSの価格、1セメスター1ソフトが目安のなるのではとの回答があった。 

 報告3では、大学に期待する英語授業の内容や授業方法について提案があり、それを実現するための参考として、他大学の事例、本学でのよい事例、TOEICの活用方法等が紹介された。
 TOEICの受験目的について質問があり、発表者の知人の例が紹介された。 

 報告4では、学生の授業への意欲を向上させ、効果的な授業とするために、大人数クラスと少人数クラスの授業、それぞれの長所、短所が寸劇とともに紹介された。大人数のクラスではグループワークを取り入れる、学生とのコミュニケーションを図る等の工夫によりよい授業になるとの提案があった。
 大人数クラスと少人数クラスの境目について質問があり、約40人が境界であるとの回答があった。また、学生同士のコミュニケーションが学習意欲に繋がるのかとの質問に対して、それは授業を楽しいものにするとの回答があった。
 4件の報告の後、全体での討議となった。

 英語の授業については、学生のニーズが多様であること、授業選択の幅が学部により異なること、シラバスと内容との関連が機論された。クラスの規模の問題は、教員と学生とのコミュニケーションの問題としても考えられるとの意見があった。アルバイトの単位化の是非については、その意義やインターンシップとの違い等が議論された。
 これらの議論の中でも他大学の例が紹介され、今後、多様な学習方法が求められることが確認された議論でもあった。  終了時刻となり、第1部を終了した。

 周到な準備により報告をいただいた学生の皆さん、ご指導下さった先生方、ご参加いただいた皆様には、お礼を申し上げます。ありがとうございました。 

 

第2部 教育課題・教育実践検討会

第2部開催に向けての挨拶

 第2部の開会にあたり、羽野学長より挨拶があった。きっちょむフォーラムは回を重ね本学のFDワークショップとして成果を上げているが、教育の質の向上がますます重要となっている。国大協総会で、山形大学長の「うちは教育で行く」との発言もあったように、本学でも教育の質の向上に取り組みたいので、熱心な議論をお願いするとの挨拶があった。

 

教育課題・教育実践検討会

 検討会では、学内の3名(古城教授教育福祉科学部教授、杉田医学部教授、越智工学部教授)から報告をいただいた。報告者の論題、および資料は以下の通りである。

報告演題・報告者 資料(学内限定)
はじめに
  羽野忠(大分大学学長) あいさつ
1) 大分大学における教員免許状更新講習への取り組み
  古城和敬(教育福祉科学部)(副学部長)
PDF
2) 社会人院生を対象とした少人数ゼミでのWebClassの活用
  杉田 聡(医学部)
PDF
3) JABEEへの取り組みについて
  越智義道(工学部)(教務委員長)
PDF

 

 

 古城教授による報告1では、最初に、教育福祉科学部が現在取り組んでいる3つの課題の紹介があった。1)学部での教員養成として平成25年度より始まる教育実践演習。2)大学院での教員養成としてとしての教職大学院。3)新たな教員免許更新制。本報告は3つめの教員免許更新制についての本学の取り組みの報告である。

 教員免許更新制の概要が資料に基づいて説明された後、本年8月に実施された予備講習について、その講座内容や、応募者が多く講座定員を増して開講したこと、実施された講習会の評価、さらに、来年度以降は本年度の約10倍の規模での実施となることが報告された。また、実施のためには全学の教員の協力が必要であるとのお願いがあった。 

 杉田教授による報告2では、WebClassの活用によって社会人院生の学習を改善する方法について、実践例をもとに報告があった。仕事と学習の両立が難しい社会人にとって、時間や場所の制約が少なく、レポート等のピアレビューが容易なWebClassの利点が、その教材とともに紹介された。一方で教材作成に手間がかかること、学生が積極的にアクセスしないこと、著作権処理の問題等、WebClassを取り巻く環境の整備に関する提言もなされた。これらの問題を克服する手法の一つとして他大学でのOCW(OpenCourseWare)の紹介があった。

 越智教授による報告3では、工学部(知能情報システム工学科)におけるJABEE(日本技術者教育認定機構)への取組みについて報告された。JABEEが設定する学習・教育目標、制度、審査項目の紹介があり、続いて「知能情報システム工学科」の教育理念、学習カリキュラム、卒業後の進路等がJABEEとの関連で紹介された。特に学習の達成度を評価するための方法と基準、教育点検システムが詳しく説明され、JABEEに取り組んだ事による学習効果、今後の課題について述べられた。

 報告の後、西村センター長より3件の報告に対する質問があった。古城先生には、来年度への準備について、杉田先生には、準備と会議室(WebClass)の運営にかける時間について、越智先生には、4年生時での分属は学生の希望によるのか、また、他の学科での状況とGPAとの関連についての質問であった。

 古城先生からは、大分県の教員数、10年に1度の受講、別府大学も会場であることを考えて約1000人が本学で受講すると考えている。教職科目担当者は他大学、県教委、附属学校からの協力を考えているとの回答があった。
 杉田先生からは、WebClassに費やした時間は接続記録によると累計で1日を超えていた。また、WebClassの操作よりも一般の授業と同様に学術書の読み方、レポートの書き方等の時間が多かったとの回答があった。またWebClassを授業に利用されている先生方に対する評価の面での配慮を求められた。

 越智先生からは、学生のコース変更は学生の希望によるが、教員とよく相談している。他学科の取り組みについては、1学科で申請の準備、その他の学科でも検討を進めていると聞いている。GPAが高いことについてはJABEEの審査を考慮したものだが、今後については検討しているとの回答であった。

 以上で、きっちょむフォーラムを終了した。
 講演をいただいた先生方、参加いただいた皆様にはお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 
 
(文責)牧野 治敏
(編集)尾澤 重知

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