大学院・学部合同FD講演会 概要報告

 高等教育開発センターは本年度2回目の講演会として、平成19年11月12日(月)に京都大学高等教育研究開発推進センターの大山泰宏先生をお招きして、講演会を開催しました。 
 これは大学院設置基準が改正され、本年4月1日より大学院教育におけるFD(ファカルティ・デベロップメント)が義務化されたことを受けて、大学院部門会議と高等教育開発センターが合同で開催するものです。 
 講演会は、旦野原キャンパス教養教育棟2階のSCS室で10時40分より始まりました。
 講演に先だって、高等教育開発センターの西村センター長より、挨拶と大山先生の紹介がありました。今回の講演は2部構成でおこなわれました。

学生に向き合い学生を理解するということ -大学改革の言説に流されず

 

 第1部では、大学改革推進の根拠となる日本の大学が置かれている状況について、諸外国との比較から論じられました。日本での大学進学のユニバーサル化は、近年急速に進んでいるのではなく、すでに頭打ちになっており、その対応が遅れていること、ユニバーサル化については北欧諸国が日本よりも進んでいることなどの紹介がありました。

 また、日本の大学では学生を支える教員、職員以外の第3のスタッフが非常に少ないこと、財政的な措置(対GDP比)も十分ではないことなどが指摘されました。こうした紹介や分析は、大学改革の推進にあたり、教職員個々人の努力は限界に来ていることや、一般社会で流布されている事柄に対して批判的な認識をもつことの必要性を意味しており、さらには、長期展望にもとづく施策立案の重要性が説かれました。

 第2部では、現代の学生気質について、臨床心理学の観点からの解釈と対応の仕方についてお話がありました。現代社会は、情報が絶え間なく介入するため、学生は、その時々で、全く異なる対応が求められる状況下に置かれており、かかる学生をいかに理解するかがテーマとなりました。携帯電話の利用に関しても一般に言われているように人間関係の希薄化をもたらすというような見方に対して反論がなされる一方で、個人間の信頼関係の維持のために携帯電話の束縛から逃れられなくなっている現代の学生像が示されました。

 39人の教職員と大学院生を主とする約40人の学生という多数の参加者が、予定の時間を超過したにもかかわらず、最後まで引き込まれる講演でした。時間の制約から、第2部の後半部分については省略せざるを得なくなりましたが、続編をまた別の機会に伺うことができればと願っています。

 なお、講演会の前後の時間に、メンタルヘルスに関わる意見交換会を設けたところ、30名近くの学内の関係の教職員にお集まりいただき、大変、有意義な意見交換会が開催できたことを付記しておきます。

[参考]案内ページ

(文責)牧野 治敏
    尾澤 重知

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