「きっちょむフォーラム2011」学内合同研修会

 本学での教育改善のために全学の学生と教職員が一堂に会する研修会として、毎年実施しているFDワークショップです。本研修会は、教員だけが集まる研修会ではなく、学生と教職員が授業改善という目的のもとにそれぞれの立場から意見を出し合い検討を重ねることで、より良い、具体的な解決策を探るものです。  本年度は学生が授業において主体的に活動した実践報告を元に議論を深めます。  また、教職員だけの実践報告会では、特別経費による「ポートフォリオ研究会」の中間報告も兼ねて開催しました。

[講演会の概要]

  日 時: 2011年12月7日(水曜日)13:10~16:20
  場 所: 教養教育棟14号教室(旦野原キャンパス)  
       研究棟1階会議室(挾間キャンパス:遠隔配信)

[開会行事]

 本学の山崎清男理事(教育担当)より「このきっちょむフォーラムは本学の教育改善に重要な役割と位置づけを持っている研修会です。活発な討議を期待します。」との挨拶がありました。

   

[第1部:学生教職員教育改善研修会(13:10~14:40)]

学生の報告をもとに、学生と教職員が協働することにより授業改善の方策を探りました。

  実践報告1:「UstreamとFacebook(SNS)を活用した授業の支援から」 
        報告者:教育福祉科学部3年生(高等教育開発センターSA) 

  実践報告2:学生が主体となって地域貢献・交流を行う体験組込型教育実践 「田舎で輝き隊!」
        報告者:経済学部3年生「田舎で輝き隊!」SA

[報告の概要]

 実践報告1では、本学で開講されている「ソーシャルメディアの利活用」をテーマとした教養科目を学生が自主的にインターネット上(USTREAM)に配信することで支援した実践です。この授業での課題提出にはSNS(Facebook)が使われており、そのSNSの活用と授業の配信作業を通して学生が感じた授業でのSNS利用と授業の遠隔配信について、利点と欠点について考察したものでした。授業が学外へも広がると同時に、教師と学生の結びつきも一層密になることが報告されました。 
 実践報告2では、経済学部の授業として、学生が実際に農山村に通い、地域への貢献策を探ると同時に学生の創意による自主的な取り組みを実践する活動の報告です。この授業が経済学部のカリキュラムにどのように位置づけられるのかについて、市原教授より紹介がありました。引き続いて、学生から、地域の「買い物難民」を解消するためのプロジェクトとして、空いた物置部屋を店舗として活用し、商品を仕入れ販売するまでを企画、実施した実践報告でした。さらに、地域活性化のためのイベントの企画・実施についても報告されました。 
 以上の報告を元に、学生と教員とのあいだで、学生の自主的な学習を促すための工夫やその効果について様々な実践例を含めて活発な議論が行われました。 

  
  
  
  
 
 

[第2部:教育課題・教育実践検討会(14:50~16:20) ]

 今回の実践報告は、昨年度に引き続き、特別経費「動機付けと形成的評価を重視した学士課程教育開発」によるポートフォリオ研究会の研究員による3件の実践報告がありました。

 題目1:ポートフォリオ・WebClassを活用した教育実践 〜ポートフォリオ研究会中間報告〜
 報告者:西村善博 教授(経済学部) 

 題目2:デジタル・ネイティブ世代を議論に参加させるには? 
     〜初年次教育におけるWebClass・ポートフォリオ機能の使用感〜
 報告者:柿原武史 准教授(経済学部) 

 題目3:ポートフォリオ・コンテナを用いた授業実践
     〜試行と失敗、システム利用時のヒント〜」
 報告者:末本哲雄 講師(高等教育開発センター)

[報告の概要]

 西村氏による報告1は、WebClassを利用した授業実践について、今回の報告対象とした授業の概要、Webアンケートの作成、Webアンケート結果の利用に関する報告でした。Webアンケートは学生の授業内容理解を促すためのもので、授業での利用方法や具体的なWeb画面をもとに説明が行われました。アンケートの整理は学生アシスタントを使うことの問題点や、アンケートの投稿意欲が減っていくこと、成績下位層の学習意欲をどのように喚起すればよいのか等の問題提起がありました。 

 柿原氏による報告2では、WebClassのポートフォリオを利用しての課題提出と、授業でのそのフィードバックについての実践が報告されました。初年導入科目である「基礎演習」において資料を配付したり課題を提出したりすることで、学習の連続性や教室外学習の動機付けを意図したものです。提出された課題を相互評価させたところ、放っておくと何もしなかったが、コメント投稿を義務づけると、教室での発言よりもオンラインでの発言で積極性が見られた等の報告の他、Webの利用が成績に反映するシステムが必要ではないかとの課題も提起されました。 

 末本氏による報告3では、WebClassの中に新たに付加された「ポートフォリオ・コンテナ」の機能説明と、それを授業に導入した実践報告でした。この新機能は学生の学習活動において自己の形成的評価を可能とすることで、学力の向上を図るシステムです。ポートフォリオ・コンテナ提出物の蓄積が容易になり、評価基準表を使って学生間の相互評価および学生の自己評価を適切な方向へ導くことができるシステムであること等が説明されました。また、教養教育科目での実践例により、相互評価の有効性や授業改善への貢献度について、効果や今後の課題が紹介されました。

 最後に、本センター長の山下茂教授から、「高等教育機関として大学に求められる機能や組織のあり方、大学を取り巻く現状は厳しいものであり、教育改善をいっそう推進しなければならない。」との挨拶で、研修会を終了しました。

  
 
  
 

(文責)牧野 治敏

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