4.202007
「授業改善のためのインストラクショナルデザイン・ワークショップ」
平成18年度の大分大学FDワークショップとして「授業改善のためのインストラクショナルデザイン・ワークショップ」が平成19年3月16日に開催されましたので、その様子をお知らせします。
講師に、熊本大学大学院社会文化科学研究科教授システム学専攻の北村士朗先生をお招きして、第1部講演会、第2部ワークショップとして開催されました。会場となったSCS室では、講師の北村先生の意向によってBGMが流れるなか、朝10時からの講演開始に向けて参加者が集まりました。
今回のワークショップの趣旨説明
講演会、ワークショップに先立って、高等教育開発センターの大岩センター長からの挨拶に引き続き、当センターの尾澤専任教員から、今回の企画の背景について説明がありました。
本学で毎学期実施されている「学生による授業アンケート(授業評価)」によると、教員は授業に熱心に取り組んでいるものの、授業が分かりにくい、学生からの反応に適切に応えていないという傾向が読み取れる。そこで、学生の立場に立った授業とはどのように作り上げればよいのか、そのための一方法としてインストラクショナルデザインを取り入れた授業設計が効果的である、との主旨で今回のワークショップを企画した紹介がありました。
大岩センター長
センター尾澤専任教員の報告
第1部 講演会
始まりの時刻となり恒例の講師紹介の後、北村先生の講演となりました。
講演の始まりに当たって、北村先生の「儀式」が行われ、「起立!」「礼」「着席」の号令がかけられました。「大学の授業では、なぜか授業の始まりと終わりの挨拶が行われていない。」との北村先生の言葉でしたが、たったこれだけのことで講義に対する心構えが出来ることを再認識させられるとともに、北村先生の授業に対する意気込みが感じられる一瞬でした。
講演の様子
講義の内容は、インストラクショナルデザイン(ID)の初歩として「ID(アイディー)の『ア』を学ぶ」というものです。インストラクショナルデザインの考え方、使い方、基礎となる理論、それらを基礎とした学ばせ方等について、多数の資料にもとづいた、非常にわかりやすい説明でした。
また、講演の最中に、北村先生がこの講演で使っているテクニックについて、披露がありました。目の前で展開される講演の中での解説なので非常に説得力がありました。
講演を通して私が学んだことは、授業をするにあたって、指導者は、その授業によって受講生が何を身につけるのか、その成果は具体的にどのように測定できるのか、具体的な受講生の姿を事前にどれだけ構想できるのか、また、構想できないものは授業の目標として適しているものかそうでないのか、再検討する必要があるということでした。
この午前中第1部の講演会には大学院生も含めて40人の参加があり、充実した雰囲気のなかで終了しました。なお、終演に当たって、終わりの挨拶があったことは言うまでもありません。
第2部 ワークショップ
午後のワークショップでは2グループ(4人と、5人)に分かれてインストラクショナルデザインを実践しました。北村先生が全体を統括し、各グループのファシリテータはセンター専任教員、尾澤と牧野が担当しました。具体的な内容は、各自が持ち寄った自分の授業シラバスをグループワークによって作り直す作業です。
ワークショップの様子(1)
ワークショップの様子(2)
ワークショップは4つのセッションから構成されます。
科目・研修のガイダンス(授業を受けたくなるような説明。)
授業・研修の終わりに当たって(受講者は何を学んだか。何ができるようになったか。)
授業・研修のはじめに(1)(受講の前提となるスキルや知識は何か。受講する必要のない人は。修了認定として何を問うのか。)
概要の説明(上記の成果をふまえた上で、科目・研修の内容を説明する。)
いずれのセッションでも各メンバーの3分間のプレゼンの後、グループ内で改善のための議論を深めていきました。また、それぞれのセッションでは詳細なワークシートが準備されており、評価・検討の観点、評定尺度を明確にして実習が進められました。この作業そのものがIDに基づいていることは言うまでもありませんが、また、その威力も実感させられるものでした。
最初のセッションと最後のセッションは、どちらもシラバスによって授業概要を紹介するものですが、ワークショップでの実践によって、どの授業概要も非常に具体的で分かりやすいものとなりました。
参加者からは、授業をしなければならない立場でありながら、日常では教育学的な内容にふれることがほとんど無いので、今回のワークショップはとても新鮮で刺激的であった、との声が多く聞かれました。また、是非とも続編を実施してほしいという意見も多く、本ワークショップを企画したセンターとして一層、身の引き締まる思いでした。
最後に全員で記念写真を撮影して、充実感を伴った和やかな雰囲気の内に閉会しました。
[資料]案内ページ
(更新)2007年4月20日
(文責)牧野 治敏
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